現在地球上には、植物資源、藻類、木質バイオマスなど様々な未活用の生物資源が存在しています。これまで、これらの未活用生物資源は主にセルロース系バイオマスを中心に、「エネルギー」、「バイオ燃料」、「機能性」の側面から多くの研究が行われ、その活用が図られてきました。しかし、触媒的変換によって高機能化・高付加価値化するという観点に関しては、研究開発の余地は大きいと考えられます。今後、健康食品、化粧品、農業化学製品などの「医療・健康分野」や、ウェアラブルプラスチックやエラストマーなどの「機能性材料分野」における研究開発の促進は、大きな市場規模を持つイノベーションとなることが期待されます。
他方、産業技術総合研究所触媒化学融合研究センターは、様々な実用触媒技術を取り扱うスペシャリスト集団であり、機能性物質が持つ様々な特性や機能性をその物質を構成
する分子の骨格や官能基を変換、あるいは新たな官能基を付加することにより、物質の高機能化・高付加価値化を可能としております。
本コンソーシアムは、当研究センターの実用触媒技術を核とし、これまで利用されてこなかったセルロース系バイオマス以外の生物由来の資源も対象に、機能性物質の構造・官能基変換による高機能化・高付加価値化を通じて、医療・健康分野やエラストマーなどの機能性材料分野での研究開発を進めることで、新たな市場開拓を目指すことを目的としています。
本コンソーシアムは、会員の皆様への情報、技術の提供や会員企業が参加する共同研究や研究開発事業の橋渡しの役割を果たすことで、生物資源産業の発展に貢献していきたいと思います。
会員の皆様には、今後の生物資源産業に向けて積極的なご発言、ご提言をいただけますよう心からお願い申し上げます。
生物資源と触媒技術に基づく
食・薬・材創生コンソーシアム
会長 佐藤 一彦